こんな悩みを解決できる記事になっています!
「ジェネリックにしますか?」薬局で聞かれて戸惑った経験はありませんか?
薬代が安くなると聞いても、本当に効果は同じなのか、副作用は大丈夫なのか、不安に思う方も多いでしょう。
ジェネリック医薬品の基礎知識からメリット・デメリット、2024年10月から始まった新制度まで分かりやすく解説します。

この記事を読めば、自分や家族に合った薬選びができるようになり、安心して医療費の節約もできるはずです!


ジェネリック医薬品とは?
ジェネリック医薬品は、特許が切れた先発医薬品(新薬)と同じ成分で作られた薬です。
後発医薬品とも呼ばれます。
効き目は先発医薬品と同じなのに、お値段が安いのが特徴です。
ここでは、先発医薬品との違いや、似たような薬との違いについて、わかりやすくご説明します。
先発医薬品(新薬)との違いは?
ジェネリック医薬品と先発医薬品の一番の違いはお値段です。
ジェネリック医薬品は新薬の半額以下になることもあります。
なぜこんなに安いかというと、新薬を作るのに必要な研究費用がかからないからです。
薬の効き目を決める成分は同じですが、薬の形や色、味などは違うことがあります。



むしろジェネリックの方が飲みやすく工夫されていることも多いんですよ!
たとえば、苦い薬は甘く、大きな錠剤は小さくするなど、飲みやすさを工夫しています。
また、水なしで飲める薬もあります。
オーソライズドジェネリックって何?
オーソライズドジェネリック(AG)は、ジェネリック医薬品の中でも特別な薬です。
普通のジェネリック医薬品は効く成分だけが新薬と同じですが、AGは新薬を作った会社から許可をもらって、まったく同じ材料、同じ作り方で作られています。
つまり、AGは「新薬のそっくりさん」というより「新薬そのもの」なんです。
普通のジェネリック医薬品は新薬の特許が切れてから作り始めますが、AGは特許が切れる前から売ることができます。
項目 | オーソライズドジェネリック(AG) | 普通のジェネリック医薬品 |
---|---|---|
製造の許可 | 新薬メーカーから正式な許可を得ている | 許可は不要(特許が切れたあとに独自に製造) |
有効成分 | 新薬と同じ | 新薬と同じ |
添加物・製造方法 | 新薬とまったく同じ | 異なる場合がある |
形・味・使い心地 | 新薬と同じことが多い | 違いがある場合も |
販売開始のタイミング | 特許が切れる前から販売できることがある | 特許が切れてから製造・販売 |
安さ | 新薬より安いが、普通のジェネリックよりはやや高めの場合も | 新薬より安い(AGよりさらに安い場合も) |
ジェネリック医薬品とバイオシミラーの違い
バイオシミラーは、生物の力を借りて作る特殊な薬(バイオ医薬品)の後発品です。
普通の薬は化学反応で作りますが、バイオ医薬品は微生物や動物細胞を使い生合成させるため、製造過程が複雑な薬なんです。
ジェネリック医薬品は「同じ成分なら同じ効果」と簡単に証明できますが、バイオシミラーは複雑すぎて完全に同じものは作れません。
そのため、たくさんの試験をして「ほぼ同じ効果がある」ことを確認する必要があります。
値段も新薬の7割くらいで、ジェネリックほど安くはなりません。



お薬代がやたらと高いと感じたら、薬剤師に相談してみましょう!
在庫の状況にもよりますが、もっと安いお薬がある場合、そちらに変更できることもあります。
ジェネリック医薬品が選ばれる4つのメリット
ジェネリック医薬品には、お財布に優しいだけでなく、さまざまなメリットがあります。
効き目は新薬と同じで安全性も確認されており、飲みやすく改良されているものも多くあります。
ここでは、ジェネリック医薬品の4つの大きなメリットについてご紹介します。
メリット①:価格の安さ
ジェネリック医薬品の最大のメリットは、新薬より大幅に安いことです。
医薬品にもよりますが、多くの場合新薬の半額程度で購入できます。
なぜこんなに安くできるかというと、新薬の開発には10年以上の時間と数百億円もの費用がかかりますが、ジェネリックはその費用がかからないからです。
特に糖尿病や高血圧など、長期間お薬を飲み続ける必要がある方にとっては、家計の大きな助けになります。



ただし、もともと安い薬の場合は、それほど差がないこともあるので、薬剤師さんに確認してみるとよいでしょう。
メリット②:先発医薬品と同等の効果と安全性が保証
ジェネリック医薬品は、先発医薬品と同じ有効成分を同じ量だけ含んでいるので、効き目は基本的に同じです。
国の厳しい審査を受けて、新薬と同じように体に吸収され、同じ効果があることが確認されています。



「安いから効かないのでは?」と不安に思う方もいらっしゃいますが、それは誤解です。
ただし、薬の色や形、添加物などは違うことがあるので、お薬を変更して不安な場合は、遠慮なく薬剤師さんに相談してください。
メリット③:社会全体の医療費削減に貢献
ジェネリック医薬品を使うことは、みんなの医療費を守ることにもつながります。
日本は高齢化が進み、医療費が年々増えています。
このままでは、将来的に今の医療制度を維持できなくなるかもしれません。



一人ひとりがジェネリック医薬品を選ぶことで、国全体の医療費を大きく減らすことができます。
実際に、15年前は1割程度だったジェネリック医薬品の使用率が、今では8割近くまで増えました。
2024年10月には薬局での使用率が90.1%と初めて9割を超えました。
これにより、年間で1兆円以上の医療費が節約されています。
私たちがジェネリックを選ぶことは、子どもや孫の世代に良い医療制度を残すことにもなるのです。
そして、自分のお財布にも、社会にも優しい選択といえるでしょう。



多くの人がジェネリック医薬品を選んでいるのは安心できますね!
メリット④:飲みやすさ、扱いやすさを追求した改良品もある
ジェネリック医薬品の中には、患者さんの声を聞いて、先発医薬品より飲みやすく改良されたものがたくさんあります。
以下、先発医薬品からジェネリック医薬品にしたことで見られた工夫をまとめました!
- 苦くて飲みにくかった薬 → 甘くコーティングして飲みやすく改良
- 大きすぎた錠剤 → 小さくして、飲み込みやすく
- 水なしでも飲めるOD錠 → 口の中で溶けるので、外出先でも便利
- 薬の名前を印字 → 薬を取り間違えにくくなり、管理がしやすい
- 冷蔵保管だった目薬 → 常温保管が可能になり、旅行や持ち運びに便利
このように、ジェネリックは「安いだけ」ではなく、患者さんのことを考えた工夫がたくさんされているのです。
知っておきたいジェネリック医薬品のデメリット5つ
ジェネリック医薬品にはたくさんのメリットがある一方で、知っておくべきデメリットもあります。
これらは必ず起こるわけではありませんが、お薬を選ぶときの参考にしてください。
ここでは、ジェネリック医薬品の5つのデメリットについて詳しくご説明します。
デメリット①:新薬と成分が「まったく同じ」ではない
ジェネリック医薬品は、効き目を決める有効成分は新薬と同じですが、それ以外の部分は違うことがあります。
薬には有効成分のほかに、錠剤を固めたり、飲みやすくしたりするための添加物が含まれています。
この添加物が新薬とは異なることがあるのです。
多くの方には問題ありませんが、まれに添加物が体に合わない方もいらっしゃいます。
また、製造方法も会社によって違うため、薬の溶け方や吸収のされ方がわずかに変わることもあります。
今まで新薬を長く飲んでいた方がジェネリックに変えたとき、「なんとなく調子が違う」と感じることがあるのはこのためです。



心配な方は、薬剤師さんに相談してみましょう。
デメリット②:見た目や味が先発医薬品と違う場合がある
ジェネリック医薬品は、新薬と見た目や味が違うことがよくあります。
例えば、白い錠剤だったのがピンク色になったり、丸い形が楕円形になることがあります。
味についても、苦味を抑えるために甘くしたり、逆に新薬とは違う味になるすることもあります。
これは飲みやすくするための工夫でもありますが、長年同じ薬を飲んできた方にとっては違和感を感じることもあるでしょう。
特に高齢の方や、薬の管理を家族がしている場合は、見た目が変わることで「違う薬かも」と不安になるかもしれません。
デメリット③:長期使用データが少ない
新薬は発売から何十年も使われて、たくさんの患者さんのデータが集まっています。
一方、ジェネリック医薬品は比較的新しいため、使用経験が少ないものもあります。
もちろん、有効成分は同じなので基本的な副作用は新薬と同じと考えられますが、実際に使った人のデータはまだ少ないのが現状です。
万が一、体調に変化があったとき、製薬会社に十分なデータがなく、詳しい情報が得られないこともあります。
デメリット④:簡略化された承認プロセス
ジェネリック医薬品は安全性を評価する臨床試験などを行うことは義務化されていません。
しかし、ジェネリック医薬品は「すでに安全性が証明された薬と同じ成分」を使っています。



ジェネリック医薬品では「先発品と同じように体内で吸収されて、同じように効く」ことだけを証明すればOKなんです。(これを「生物学的同等性試験」といいます)
つまり、すでに何年も使われて安全性が確認されている成分なので、改めてゼロから安全性を調べる必要はない、という考え方なんです。
これによって、開発コストが抑えられ、患者さんにより安価な薬を提供できるようになっています。
デメリット⑤:ジェネリック医薬品に変えられないものもある
すべての薬にジェネリックがあるわけではありません。
新しい薬や、作るのが難しい特殊な薬にはジェネリックがないことがあります。
たとえば、てんかんや精神科の薬など、わずかな違いでも影響が出やすい薬では、医師が変更を認めないことがあります。
アレルギー体質の方で、ジェネリック医薬品の添加物が合わない可能性がある場合も同様です。
処方箋をもらったら「変更不可」の欄を確認してみてください。
チェックが入っていなければ、薬局でジェネリックを選ぶことができます。
不明な点は遠慮なく薬剤師さんに聞いてみましょう。
先発品選択時の追加負担について【選定療養制度】
2024年10月から、ジェネリックがある先発医薬品を選ぶと、今までより薬代が高くなる制度が始まりました。
これは「長期収載品の選定療養」という新しい仕組みです。
ここでは以下を分かりやすく説明します。
- 選定療養とは何か
- どのくらい負担が増えるのか
- なぜこのような制度ができたのか
選定療養制度の仕組み
選定療養とは、患者さんが自分の希望で特別なサービスを選んだときに、追加料金を払う仕組みのことです。
普通の治療は健康保険でカバーされますが、「もっと良いものを」と希望する部分は自分で払うことになります。
身近な例では、入院時の個室料金がこれにあたります。大部屋なら追加料金はかかりませんが、個室を希望すると差額ベッド代を払う必要があるのです。
ほかにも、紹介状なしで大病院を受診するときの特別料金や、時間外の予約診療なども選定療養です。
2024年10月からは、この仕組みが薬にも適用されることになりました。
ジェネリック医薬品があるのに先発医薬品を選ぶと、追加料金がかかるようになったのです。
※医療機関にジェネリック医薬品がなく、先発医薬品のみ在庫がある場合、追加料金はかかりません。
参考:https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_39830.html
実際の負担額について
先発医薬品とジェネリックの価格差の4分の1を、患者さんが追加で払うことになります。
さらに、残りの薬代には今まで通り保険が適用されるので、3割負担の方なら別途その分も払います。生活保護や子ども医療費助成を受けている方でも、この選定療養費は必ず払わなければなりません。
つまり、どんな公費負担を受けていても、先発医薬品を選んでしまうと追加料金がかかってしまいます。
差額の計算方法を詳しく解説
実際の負担増を具体例で見てみましょう。
先発医薬品が800円、ジェネリックが400円の薬を、3割負担の方が使う場合を考えます。
2024年9月までは800円の3割で240円の支払いでした。
10月からは、まず差額400円の4分の1(100円)に消費税を足した110円を選定療養費として払います。
次に、800円から選定療養分を引いた約700円の3割(210円)を保険負担分として払います。
合計すると約320円となり、以前より80円高くなるのです。
【計算式】
9月まで:800円(先発医薬品)×3割=240円
10月から:[400円(後発医薬品との差額)×4分の1+消費税=110円]+[700円(800円から選定療養部分を引いた金額)×3割(保険割合)=210円]=320円
差額:320円ー240円=80円


1つの薬で80円の差は小さく感じるかもしれませんが、複数の薬を飲んでいる方や、毎月薬をもらう方にとっては、年間で数千円から数万円の負担増になることもあります。
追加負担が必要になった背景
選定療養制度ができた最大の理由は、増え続ける医療費を抑えるためです。
日本の医療費は年間40兆円を超え、今後も増加が予想されています。
ジェネリックは先発医薬品より安いので、みんながジェネリックを使えば医療費を大幅に減らせます。



しかし、まだ多くの方が先発医薬品を選んでいるのが現状です。
そこで、先発医薬品を選ぶ方に追加負担をお願いすることで、ジェネリックへの切り替えを促そうというわけです。
対象となるのは、ジェネリックが発売されて5年以上たった薬です。
新しい薬や、まだジェネリックがない薬は対象外なので、すべての薬が高くなるわけではありません。
具体的な対象品目については、厚生労働省のホームページ上で確認できます。
※後発医薬品のある先発医薬品(長期収載品)の選定療養について
ジェネリック医薬品への切り替え方法
ジェネリック医薬品を希望する場合は、医師や薬剤師に伝えるだけで大丈夫です。
診察のときに医師に「ジェネリックでお願いします」と伝えるのが一番確実です。
言い忘れた場合でも、薬局で処方箋を出すときに薬剤師さんに希望を伝えれば変更できます。
恥ずかしがる必要はまったくありません。



直接言いづらい方は、お薬手帳の表紙に「ジェネリック医薬品希望」のシールを貼っておく方法もありますよ!。
薬局でシールをもらえることが多いので、聞いてみてください。
現在服用中の薬がジェネリック医薬品か確認する方法
お薬手帳や薬の袋を見れば、今飲んでいる薬が先発医薬品かジェネリックかすぐに分かります。
薬の名前が「成分名+会社名」の形(例:アムロジピン錠5mg「トーワ」)になっていればジェネリック医薬品である可能性が高いです。
「ノルバスク」「アムロジン」のような独自の商品名なら先発医薬品です。
薬局でもらう薬の説明書にも「後発品」「ジェネリック医薬品」と書かれていることがあります。
もし先発医薬品を飲んでいてジェネリック医薬品に変えたい場合は、処方箋の「変更不可」欄を確認してください。
チェックが入っていなければ、薬局で変更可能です。
チェックがある場合は、アレルギーなど医学的な理由があるかもしれないので、次回の診察で医師に相談してみましょう。
ジェネリック医薬品をより安心して使う3つのコツ
ジェネリック医薬品は基本的に安全ですが、より安心して使うためのコツがあります。
薬を変更するときの不安を減らし、万が一の体調変化にも適切に対応できるよう、3つのポイントをご紹介します。
これらを知っておけば、ジェネリック医薬品のメリットを最大限に活用できるでしょう。
コツ① 体質や効果の変化に注意を払う
先発医薬品からジェネリックに変えたとき、薬の効き方が少し違うと感じることがあります。
これは添加物や製造方法の違いによるものかもしれませんが、「安い薬だから効かないのでは」という心配から起こる心理的な影響の場合もあります。
薬剤師さんに不安を伝えて、しっかり説明を受けることで、この心理的な影響は小さくなります。
また、まれに添加物が原因でアレルギーが起こることもあります。
薬を変えた後は、かゆみや発疹、じんましんなどの症状が出ないか注意深く観察してください。
心配なことがあれば、遠慮せずに薬剤師さんに相談することが、安全に使うための第一歩です。
コツ② 気になる症状は早めに相談する
新しい薬を始めたときは、先発医薬品でもジェネリックでも、体調の変化に注意が必要です。
「いつもと違う」「効果が感じられない」「体調がすぐれない」と思ったら、様子を見すぎずに早めに医師や薬剤師に相談しましょう。



特に、吐き気、めまい、だるさなどの症状が続く場合は、副作用の可能性もあります。
相談するときは「いつから」「どんな症状が」「どのくらい続いているか」を具体的に伝えると、適切なアドバイスがもらえます。薬の変更後2週間くらいは特に注意深く体調を観察し、気になることはメモしておくとよいでしょう。
コツ③ より安心なオーソライズドジェネリックという選択肢
ジェネリック医薬品に不安がある方には、先ほど紹介した「オーソライズドジェネリック(AG)」という選択肢があります。



ただし、すべての薬にAGがあるわけではないので注意が必要です。
まとめ
ジェネリック医薬品は、先発医薬品(新薬)と同じ有効成分を含みながら価格が安く、医療費の節約に役立つ優れた選択肢です。
2024年10月からは、ジェネリック医薬品がある先発品を選ぶと追加負担が発生する制度も始まりました。
ジェネリック医薬品のメリット・デメリットを正しく理解した上で、納得して選ぶことが、安心・安全な薬物治療につながります。